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ドリログ

ドリンクブログ、略してドリログ!!   ここでは緑茶から紅茶、コーヒー、お酒、カクテルまで画像付きで紹介していきます。

雨にも負けず粗茶一服(上・下) 松村栄子

今回は、お茶にまつわる小説の紹介。

※だいぶ前に読んだものの今回の投稿に当たって読み直すという時間もないので、うろ覚えの記憶で書きます。間違った内容ありましてもご容赦ください。



この小説、お茶にまつわると言ってもお茶がメインテーマではありません。
あくまでも主軸は主人公(大学生の青年)の成長ストーリーです。

どの辺がお茶にかかわっているかというと主人公の設定。
"弱小茶道流派の家元の長男"というものなんですが、この斬新な設定が面白いんですよね。
今までにない感じでしょ?
有名流派ではなく、あくまでも地方流派の嫡男の主人公(笑)。
詳しくは京都にある日本一の有名流派の坂東の分家ということになっています。

なので家元と言っても住込みの内弟子も一人、ブルジョアっぽさもなく、主人公は茶道に対して恥を感じており、家を継ぐことに反抗している不良もどき。

そんな彼が、とある理由(詳しくは忘れた)で京都に行き、畳屋の家にお世話になるところから物語はスタート。
紆余曲折を経て、登場人物もだんだんと広がりを持ちながら、最終的には主人公がお茶の魅力を理解していく過程が描かれます。


この小説の楽しさは、やはり他にはない「現代の茶道流派の世界」観が知れることです。舞台がよくある戦国時代じゃない現代というのが重要。
著者がどの程度の取材をして、どの程度業界に詳しいのかは知りませんが、全体的にエピソードに「ありそうありそう(笑)」と読み進められるリアル感があります。
登場人物も個性的で好感持てるし、京都本家と坂東分家の絡みも面白いです。

また子どもにも読めるようにか分かりませんが、文体が堅苦しくなく気軽にサラッと読めるところもポイント。

そういう世界観を楽しみつつ、ストーリーとしても主人公の成長以外にも、一本の茶杓を軸にいろんな謎が解明されるミステリー感もあったり、登場人物の関係も変化していったりと、よくできた構成だと思います。

細かい表現に稚拙な部分もあって文学的に傑作とは言い難いのですが、大人から子供まで楽しく読める価値ある一作ではないでしょうか。


元々この小説は京都新聞の連載小説として発表されていたとのこと。
ますます「あー京都新聞とか似合いそう~(笑)」とか思ってしまう内容。

最近知ったのですが、続編となる「風にも負けず粗茶一服」も出版されているようです。


手軽に茶道の世界観を知りたいと言う人にはオススメの一冊。


 
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