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ドリログ

ドリンクブログ、略してドリログ!!   ここでは緑茶から紅茶、コーヒー、お酒、カクテルまで画像付きで紹介していきます。

カテゴリー「書籍」の記事一覧

茶の湯デザイン (阪急コミュニケーションズ)

この本は「Pen」という雑誌から特別編集で出版された、茶道を紹介するムックです。特に茶道におけるデザイニングを軸に、その美意識とは何かということに重きを置いて展開しています。

そもそもPenという雑誌は、建築や芸術、古典芸能から宗教、アニメーション、嗜好品まで幅広くテーマを扱った大人向けの教養誌(?)であり、その独特な切り口と端正で無駄のない編集がモダンな雰囲気を有しており人気です。
テーマの取り上げ方が非常に興味をそそることが多く、私もよく買ってます。

そしてそのPenでも人気のテーマが茶道です。

茶道特集の回の誌面をカットアウトし、さらに内容を追加してボリュームアップさせたのがこの本です。

雑誌と同じく、現代の言葉で分かりやすく、且つストイックにフェアに的確に、的を射た表現で茶道デザインを紹介していきます。媚びるわけでも批判するわけでもないその徹底した客観性が茶道書としては珍しく、長所と言えると思います。
とにかくこの本は茶道を「現代の」感覚で分析したもので、「現代人」をターゲットに紹介することを目的としているわけです。

茶道の持つ少々ひねくれた側面が嫌だと思われる人にはちょうど良いテキストになると思います。


なお、茶道と言うと敷居が高く女性的なものであるというのが世間一般の認識ですが、この雑誌では始めから茶は歴史的に教養ある男社会で作られた事実を黙して記事が書かれており、茶道の基本的な知識は有していることを前提に話が進められています。そのため、それらに関する説明は省略されており、最初からいきなり利休と織部のデザインの違いなどかなり踏み込んだ内容となっています。
全くの門外漢だと一見理解しづらいところもあるかもしれないですが、それでもそのまま読み進めると茶道とは何かということの一端は見えてくるのではないか、と思います。



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「利休にたずねよ」 山本兼一著 (PHP研究所)

いまさらの紹介という感じもしますが、三年くらい前に直木賞を受賞した作品ですね。

この本は全くの小説です。
お茶に関しての資料でもなければ、指南書でもありません。まぁ直木賞作品なので当然ですが。

緻密な時代考証を元に、利休にはかつて心に秘めた想い人がいたという大胆な設定で描かれた歴史小説です。

この小説は本当にすごいです。文体は丁寧で描写が正確。この時代の研究もきちんと行ってあり、作品に力があって物語に引き込まれます。直木賞作品だなって感じ。
なおかつ作中の登場人物の言動にすごくリアリティがあります。本当にこう言う人物だった、こんな言葉を吐いたに違いないと思わせるような。 特に利休は聖人だというイメージが一般的に強いようですが、そうではないある意味で鬼のように冷酷なキャラクターとして書かれているのが非常にリアルに感じられます。

この小説は茶道の知識がなくてもすんなり読めます。
そして、利休の時代、茶道がどのように使われ、どんな意味合いを持っていたのかが、難しい説明を聞くよりはるかによく分かります。

茶道の知識がないと理解しにくいと思われるかもしれないし、多少はそういう部分もあるかもしれないけれど、入門用に読むのもいいかも知れません。 もちろん普通に歴史小説としても楽しめます。



「おいしいお茶が飲みたい」 (NHK出版)

久々の書籍の紹介ですね。

今日のご紹介は、私のお茶好きの最初の一歩。その名も「おいしいお茶が飲みたい」!
NHK出版さんです。ていうことは多分、NHKでやってる趣味講座の番組用のテキストかなにかだったのだと思います。

以前、当ブログの茶話でも書きましたが、茶道を習っていた私にと母が図書館で借りてきてくれた本です。すごく気に入ったので、絶版だったものを中古で取り寄せました。記念すべきmyお茶本の第一冊目です。

本の内容は、紅茶~日本茶~コーヒー~中国茶~ハーブティー~ココアと、たいして厚くない本の割に幅広い取り扱い。 そしてその中身も、種類、歴史、産地、ブランド、淹れ方、器具、お茶うけ、豆知識まで過不足なく情報が詰まっている良書。
本当に熟読したと思います。しかも一度読んで終わりじゃなくて、事あるごとに何度も開きました。アレンジティーを作るときもそうだし、このブログに書くときも参考にしたりとか。最近もココアの作り方を忘れたのでこの本を見ました。中古の価格を覚えてないけど、絶対にモトをとった自信があります。

全ページカラーだし、写真もイラストもたくさん。入門者向けにとても良い本だと思います。
この本自体は今は手に入りませんが、私の大切な本ということで紹介しちゃいました。




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「本のお茶」 川口葉子他著 (角川書店)

ちょっと久し振りの更新です。

新しいカテゴリを一つ増やしてみました。書籍に関するコーナーです。
私が持っている、あるいは読んだことのあるお茶に関連した本を紹介していきます。
私の場合、本と言ったらどうしても茶道に関するものが多くなってしまいますが、それはご了承ください。


記念すべき第一回はこの本でいこうかな。
さっそく茶道の本です。タイトルは「本のお茶」。サブタイトルは”カフェスタイル・岡倉天心『茶の本』”です。

って言っても、第一回からこの本にしたのは、ちょっと順番を間違えたかもしれないです。というのも、この本はかなりの前置き的説明が必要となりますので。ちょっとお付き合いください。

約100年前、明治時代の美術家(ないし美術史家、美術収集家etc)、岡倉天心という人が「THE BOOK OF TEA」という本を書きました。
岡倉天心は生まれも裕福でエリートコースの生涯。自身が美術家というよりは美術の発展に寄与し、多くの有名画家を育てたと言うことの方が有名です。現在の東京芸大のもとになる東京美術学校を作った人でもあります。40歳過ぎの頃、ボストン美術館の東洋美術部に迎えられて西洋人と交流が増えます。
そんな中で、欧米人に日本の文化を理解してもらうために彼は多くの日本文化に関する本を書きます。その一つが、「THE BOOK OF TEA」です。だから原文は英語です。そしてこの本は、昔から今までずっと茶道の教科書的な存在として世界各国で読まれているのです。と同時に、内容が秀作であったため日本語にも数多く訳され、今でも多くの日本人が読んでいるわけです。
以上が「茶の本」の説明です。

話を「本のお茶」に戻します。この本は、もっと多くの人に読んでもらえるよう、手に取りやすい工夫を試みた作品です。茶の本の文章を大胆に抜粋、意訳して、多くの写真を挿入して、ところどころにコラムを挟んでいます。カフェに置いてありそうなオシャレな本を目指した、だからカフェスタイルなわけです。

説明が長くなりましたが、この本の意図は理解していただけたでしょうか。

「THE BOOK OF TEA」はTEAという語を冠していますが、実際はお茶を媒体に日本の、東洋のタオイズム(=道の精神)を説明したものでした。ですから、道教や禅の考え方がたくさん出てきます。

翻訳を読んだことが無いので、どの程度この「本のお茶」が意訳を試みているのかは分かりませんが、全体的に文章は長い長い詩を読んでいるように淡々と進み、しかして内容は深遠な茶の宇宙を感じさせる壮大なものです。まさしく中国のダイナミズムと日本の静謐をあわせたような雰囲気です。

「本のお茶」にかなりの量に渡って挿し込まれている写真は藤田一咲氏によるもので、お茶の風景や東洋の自然を写したものばかり。素朴でソフトなタッチですが、そこはかとなく込められたエキゾチックさが魅力です。いかにもカフェ本となりえています。

総括的に見てこの本は、大前提である「THE BOOK OF TEA」の存在を知らない人が読んでも、頭の中が「???」になるでしょう。ですがむしろそれが良いのかもしれません。何も知らない空っぽの頭で読んでこそ、「本のお茶」に封じ込められたエキスを感じることが出来そうな気もします。
確かにカフェに置いてあったら、とても雰囲気に沿っているし理解の難しい哲学的なタオイズムもまた美しいものとして捉えやすくなると思います。

ぜひ一度、ムツカシイ本もこういう一冊から気軽に手にとってみては?









余談ですが、原文は90ページ程度と割とあっさりしたものです。
以前、英語の教材として売られていた「THE BOOK OF TEA」を買って読もうとしましたが、易しい英語に変えてあるにもかかわらず、2ページ目で断念。英語は苦手です。

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